他の先生が経営しておられたクリニックの
内装や医療機器もそのままで、経営を引き継ぐことが、
居抜き開業と呼ばれます。
この居抜き開業が一番良いのは、
なんといっても手間が省けることですね。
引き継いだ当日、翌日からでも、
開業でき、収入があがります。
また、設備も中古扱いですから、
調達費用も安く済むでしょう。
居抜きの場合は、新規開業というよりは、
M&Aという意味合いの方が強いかもしれませんね。
今後、経営に行き詰まったり、
後継者がいなかったりするケースも増えるでしょうから、
居抜き開業は間違いなく増えるでしょうね。
また、現在のクリニックを維持しながら、
フランチャイズとしたり、支店として使ったり、
色々な可能性があるので、私も注目しています。
新規開業の場合に、話を戻しますと、
開業を急いでいたり、資金的にあまり用意できないときは、
有効な方法かもしれません。
しかし、いつもいつもこうした案件があるわけではないですし、
こうした案件が、先生のところまで持ち込まれるかが読めないですね。
居抜き開業をしたい先生は、
日頃からアンテナを張っておかないといけないですね。
運よくこうした案件に出会えた場合、
クリニックの売却価格は、設備費、テナント保証金、
患者引継ぎの暖簾代などを考慮して、決まります。
暖簾代は法律で決められた金額ではありませんが、
クリニックを引き継いだ先生が、継続して経営していくので、
患者さんを引き継ぐという、それまでの集患費用や努力、
そういったものに経済的価値を認めて、
お支払することになるかと思います。
その算定方法も決まりはありません。
ただし通常、新規で開業した場合、
6ヶ月から1年間くらい集患に苦労するでしょうから、
その集患にかかる費用を目安に決まってくるでしょう。
売却価格も気になるところですが、
そのクリニックの売却理由も、気にしないといけません。
前経営者は、なぜそのクリニックを売却するのか?
そのクリニックが儲かっていたら、
売却する理由は本来ありません。
後継者がいないからなのか、健康面で不安があるのか、
そういった理由であれば、前経営者は年配の方である可能性が高いですが、
前経営者が言う売却理由を、そのまま鵜呑みにするのは危険です。
本当は運営ができないくらい経営が苦しいからかもしれません。
最後にまとまった資金を手に入れて、厄介払いしたいだけかもしれません。
その辺りの真の理由は、調査しないといけませんね。
特に、立地がどうしようもない場所だったら、
手の打ちようがなくて、後悔することになりかねません。
それ以外にも、スタッフの構成や客層の内訳、
その他もしっかり見ていく必要があります。
前の診療所の色を薄めたいときは、
クリニック名を変えたり、内装を少し変えたり、
予算を圧迫しない範囲で、考えるのもいいかもしれません。
その他、患者さんをスムーズに引き継ぐために、
数か月そのクリニックで働いて、顔を売ったり、
色々考えることができますね。
総合的に判断して、そうした選択肢があることも、
頭の片隅に置いておいても良いかもしれませんね。